妊娠のしくみ

妊娠が成立するには様々なステップをクリアしなければなりません。
そのステップは大きく分けて卵胞発育、射精、排卵、受精、着床の5つに分けられます。
これらのプロセスがすべて順調に行われて、ようやく妊娠にいたります。

妊娠までの5ステップ

1:卵胞発育

卵胞および卵子が発育

卵子は、卵巣内の卵胞という袋状の組織に包まれています。
月経が始まると、直径5mmほどに発育した約20個の卵胞は、脳下垂体から分泌される卵胞刺激ホルモン(FSH)の作用で、徐々に大きく育っていきます。

選ばれた一つの卵子

最終的に排卵するところまで育つ卵胞は1個に絞られ、他の卵胞は途中で育たなくなり退行していきます。
これは脳下垂体からのFSHの分泌をコントロールしている視床下部が、卵胞でその発育と共に作られるエストロゲン(卵胞ホルモン)のレセプターという、一種のセンサーを持っていて、血中のエストロゲンレベルに応じてFSHの分泌量を調整しているためです。

卵胞発育にはFSHが必要ですが、視床下部は血中エストロゲンレベルの増加を察知するとFSHの分泌量を減らします。
つまり、FSHを減少させることによって、1つだけの最も反応性のいい卵胞が育つようにするわけです。
こうして選ばれた1つの卵胞が成長を続けます。
2.射精へ

2:射精

100万個のうち1個

通常、1回の射精で1億〜4億個の精子が膣内に射出されます。
射精された運動精子のうち約1/1000くらいの精子が頚管粘液をつたって子宮内に到達します。
さらに、その精子の中から、受精の場である卵管の先端の膨大部という部位にまで到達できる精子は、また1/1000くらいと考えられています。つまり、膣内に射精された運動精子の中から卵管膨大部にまで到達できる精子は100万個のうち1個くらいということです。
妊娠するためには、かなりの運動精子数が必要ということになります。

子宮から卵管へ

精子は、頚管と呼ばれる子宮の入り口から子宮腔内へ進入し、子宮内腔の両側の上端に開いている卵管口から卵管の中を遊泳して、卵管の先端部分(卵管膨大部)で、卵巣から放出される卵子を待機しています。
また、精子は射精後48時間くらいまで生存し、受精可能であるといわれています。
3.排卵へ

3:排卵

卵子が成熟して排卵される

選ばれた1つの卵胞は成長を続け、直径の増大と共にエストロゲンの分泌量をふやし、直径が20mmを超えたあたりでその分泌量がピークに達します。この多量に分泌されたエストロゲンは、視床下部のレセプターによって感知され、卵胞が充分に育ったと判断されます。
すると、視床下部からの指令で脳下垂体から黄体化ホルモン(LH)の一過性の大量放出が促され(LHサージ)、これが卵胞破裂、すなわち排卵の引き金になります。LHサージ後約36時間で排卵がおこります。
卵胞壁が破れると卵子を含む卵胞液が腹腔内に流出し、卵子はこの液の流れに乗って腹腔内に出ていきます。
排卵日頃の平均卵胞直径は21mm(範囲15〜30mm)程度です。
また、LHサージは卵子にとっては減数分裂を再開する指令でもあり、排卵までの間に減数分裂をして染色体数を半分にしています。(半数の染色体は卵子の外に第1極体として放出されます)

精子との出会い

放出された卵子は、ラッパのように開いた卵管采と呼ばれる卵管の口に取り込まれ(ピックアップ)、卵管の先端部あたりで精子と出会います。もちろん、卵管采のピックアップ機能が保たれていなかったり、卵管采が癒着等でうまく動けなかったり、また卵巣の癒着等で卵子が卵管采まで移動しにくい環境ですと、妊娠に結びつきません。
4.受精へ

4:受精

受精の成立

卵管膨大部で卵子に出会った精子が卵子内に侵入すると、卵子の染色体が活性化され卵細胞内に雌性前核ができます。
また、精子が卵細胞内に侵入した後、精子の染色体は雄性前核になります。
この雌性前核と雄性前核が融合することを受精といい、受精卵はやがて胚として分割を始めます。

分割して子宮へ

受精卵(胚)が分割を繰り返しながら卵管から子宮腔内へ移動します。
受精卵は細胞分裂を繰り返し、卵管内で細胞数を増やしながら4〜5日かけて子宮まで運ばれます。
4日目くらいの細胞数は16〜32くらいです。この時期の胚を、桑の実の形に似ていることから桑実胚(そうじつはい)といいます。
5.着床へ

5:着床

子宮内膜に着床

桑実胚は子宮内で胚盤胞になります。
さらに、細胞分裂が進むと胚は、透明帯という胚を保護している殻から脱出して、脱出胚盤胞になり、子宮内膜内に侵入し、着床が成立するわけです。
着床には、この子宮内膜が非常に重要な役割を果たしています。
排卵前には、卵胞から大量のエストロゲンが分泌されています。
エストロゲンには子宮内膜を増殖させる作用があり、子宮内膜は増殖して分厚くなってきます。しかし、この状態の子宮内膜はまだ硬く、着床できる状態ではありません。
排卵後、卵胞の顆粒膜細胞層と内爽膜細胞は黄体という組織になり、黄体ホルモンを産生します。

黄体ホルモンの力

黄体ホルモンは子宮内膜の細胞の内外に水分を貯留させたり、子宮腺を発育させる作用があります。
黄体ホルモンは、この作用で胚が着床できるように、子宮内膜を浮腫状のふかふかの状態にしていき、着床の準備を整えているわけです。

妊娠が成立しなかった場合・・・
排卵後2週間くらいで黄体機能は衰え、黄体ホルモンを産生できなくなり、ふかふかの子宮内膜を維持できなくなって、子宮内膜は剥げ落ちてしまいます。これが月経です。
そして、次の周期に育つ卵子を選んで次の周期の準備を始めます。

卵胞の発育から排卵にいたるまでの過程

女性の月経周期は、間脳の視床下部、下垂体前葉、卵巣および子宮から分泌される様々なホルモンによって制御されています。
基礎体温の低温期(卵胞の発育している時期)や高温期(排卵後の黄体期)もホルモンの影響で起こります。
ここでは、自然な周期における卵胞の発育から排卵にいたるまでの過程をご説明します。

月経開始ごろ

月経が開始すると、間脳の視床下部は、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(以下GnRH)を分泌し、GnRHが下垂体前葉のGnRHレセプターに結合することによって卵胞刺激ホルモン(以下FSH)の分泌が促進されます。

卵胞の発育を促すFSHが分泌されると、卵巣において20個程の小さな卵胞(直径2〜5mm程度)が徐々に大きく発育します。

月経周期5日目ごろから10日目

視床下部は卵胞で作られるエストロゲン(卵胞ホルモン)のレセプター(一種のセンサー)を持っており、そのレセプターを介して卵胞の発育を感知します。

月経周期5日目くらいになると、視床下部は血中エストロゲンレベルの増加を感知して、FSHの分泌量を減らします。

これは、FSH を減少させることによって、最終的に排卵に至るまで発育する最も反応のいい卵胞を1個に絞り込むために起こります(セレクション)。

こうして一個の卵胞が発育を続け、他の卵胞は途中で発育できなくなります。

月経周期10日目ごろから排卵まで

その後、選ばれた1個の卵胞が発育を続け、卵胞直径が8mmになる頃から、エストロゲンの分泌量は増加。
直径20mmを越えたあたりでピークに達します。

月経周期12〜13日目頃
多量に分泌されたエストロゲンは・・・?
視床下部に「卵胞が排卵する段階にまで充分に育ってきた」という認識をさせ、下垂体前葉からの黄体形成ホルモン(以下LHとする)の一過性の大量分泌(LHサージ)を促します。

月経周期14日頃
これが排卵の引き金になり、LHサージ後、約36時間で卵胞内の卵が成熟し、排卵が生じます。

排卵日頃の卵胞直径は21mm(範囲15〜30mm)程度になっており、排卵が起こると、卵胞液と共に卵子は腹腔内に流出します。